シリーズ「公開したその後 〜運用と改善のノート〜」の第2回です。第1回では更新頻度とネタ切れ対策について書きました。今回のテーマはバックアップです。
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正直に書くと、私はこれまでバックアップをほとんど気にしていませんでした。使っているレンタルサーバー(ConoHa WING)に自動バックアップ機能がついているのは知っていたので、「何かあってもサーバーが勝手に戻してくれるだろう」くらいの認識でした。
ところが今回あらためて調べてみたら、その認識はかなり危なっかしいものでした。自動バックアップは確かに役に立つのですが、私が思っていたような「元に戻すボタン」ではなかったのです。同じように考えている方もいると思うので、調べて分かったことと、実際にやり直した設定を書いておきます。
レンタルサーバーの自動バックアップは何をしてくれるのか
まずConoHa WINGの自動バックアップの仕様から。
- バックアップの対象はWebサイトのデータ・メール・データベースの3種類
- 1日1回、自動で取得される
- 過去14日分が保持される
- リストア(復元用データの取り出し)は無料、すべてのプランに標準でついている
ここまで見ると十分に思えます。追加料金なしで毎日バックアップが取られていて、2週間分さかのぼれる。私が「気にしなくていいか」と思ったのも、この部分だけを見ていたからです。
調べて分かった「復元ボタンではない」という事実
問題はここから先でした。管理画面で「リストア」を実行したときに何が起きるかを読んで、認識が変わりました。
リストアしても、本番サイトは自動では元に戻りません。
Webデータのリストアを実行すると、指定した日付のデータがサーバー上の /home/cXXXXXXXX/backup_data_web というフォルダに置かれるだけです。そこから必要なファイルを、ファイルマネージャーやFTPソフトを使って自分で本番の場所に戻す作業が必要になります。
データベースはもう少し複雑で、復元されたデータベースは元の名前ではなく日付が付いた別名で作られます。そのため wp-config.php を開いて、接続先のデータベース名やユーザー情報を書き換える作業が発生します。
さらに、細かいけれど重要な制約がいくつかあります。
- リストアで取り出したデータは24時間で自動的に削除される
- 新しくリストアを実行すると、前に取り出したデータは消える
- 週に5回を超えてリストアすると、一定期間制限がかかる
- 当然ながら、14日より前には戻せない
つまり、トラブルが起きてから「さあ戻そう」と思ったときに、落ち着いてFTPソフトを触ったり wp-config.php を編集したりする必要がある、ということです。サイトが表示されなくなって焦っている状況で、初めてその作業をするのは、かなり厳しいのではないかと思いました。
サーバーのバックアップは「保険」であって「巻き戻しボタン」ではない
整理すると、レンタルサーバーの自動バックアップはこういう性質のものです。
強いところ
- サーバー側の障害やデータ消失に対しては確実に効く
- 何もしなくても毎日取られている
- 追加費用がかからない
弱いところ
- 自分の操作ミスに気づくのが遅れた場合(14日を過ぎると戻せない)
- サーバーアカウント自体にトラブルがあった場合(バックアップも同じ場所にある)
- 「すぐに元の状態に戻したい」という場面(手作業の復旧が必要)
最後の弱点が、私にとっては一番現実的でした。プラグインを更新したら表示が崩れた、テーマをいじったら真っ白になった——こうした「自分でやらかす」ケースこそ、一番起きやすいはずです。
やったこと:UpdraftPlusでGoogle Driveに二重化
そこで、サーバーの自動バックアップはそのまま「保険」として残しつつ、自分で即座に戻せる手段を別に用意することにしました。使ったのは UpdraftPlus という定番のバックアッププラグインです。
無料版でも、今回やりたかったことはすべてできました。
- バックアップを自動スケジュールで取得する
- 保存先をGoogle Driveなど外部のストレージにする
- 管理画面の「復元」ボタンから、プラグインの中だけで元に戻す
ポイントは2つ目の「外部に置く」ところです。バックアップがサーバーと同じ場所にしかないと、サーバーごと何かあったときに一緒に失われます。Google Driveに置いておけば、サーバーとは切り離された場所に残ります。
設定した頻度はこうしました。
| 対象 | 頻度 | 保存する世代数 |
|---|---|---|
| データベース | 毎日 | 14世代(2週間分) |
| ファイル(テーマ・プラグイン・画像など) | 毎週 | 4世代(約1か月分) |
記事の本文や各種設定はデータベースに入るので、毎日更新しているこのブログでは毎日取る必要があります。一方、テーマやプラグイン、画像といったファイル類は、そう頻繁には変わりません。毎週で十分ですし、そのほうがDriveの容量も節約できます。
実際に初回のバックアップを手動で実行してみたところ、データベースとファイル一式(合計で50MBほど)がGoogle Driveに保存されるところまで確認できました。ブログ全体でこの容量なら、Driveの無料枠でもまったく問題ありません。
一番大事なのは「戻せることを確かめてあるか」
今回いろいろ調べていて、一番なるほどと思ったのはこの考え方でした。
試したことのないバックアップは、バックアップとは言えない。
取れているつもりでもファイルが壊れていた、手順が分からず結局戻せなかった——そうなってから気づいても手遅れです。バックアップは「取ること」より「戻せること」のほうが本体だと考えたほうがよさそうです。
そういう意味でも、管理画面から復元ボタンを押せるUpdraftPlusのような仕組みは、いざというときのハードルがぐっと下がります。
追記:実際に復元を試しました。この記事を公開したあと、UpdraftPlusのバックアップからテーマ一式(28.5MB)を復元してみました。Google Driveから自動でダウンロードされ、3,857ファイルが展開されて「Restore successful!」が出るまで1分ほど。復元後もサイトの表示、カスタマイズした追加CSS、アイキャッチ画像はすべて元のままでした。
やってみて一番はっきりしたのは、サーバー側のリストアとの違いです。ConoHa側は復元用のデータが別の場所に置かれるだけで、そこから自分で戻す必要があります。一方UpdraftPlusは、管理画面でボタンを押すだけで本番のサイトに反映されました。この差は、実際に押してみるまで実感できていませんでした。
もうひとつ、試す過程で気づいたことがあります。復元する前に、そのバックアップがいつの時点のものかを必ず確認したほうがいいということです。私の場合、手元にあった最新のバックアップはこの記事を公開する20分前のもので、そのままデータベースを戻していたら、公開したばかりの記事が消えていました。記事を公開した直後など、大きな変更のあとには手動でバックアップを取っておくと、戻れる地点が増えて安心です。
あわせて習慣にしようと思っているのが、WordPress本体・テーマ・プラグインを更新する前に手動でバックアップを取ることです。不具合が起きるとしたらだいたいこのタイミングなので、直前の状態がひとつ残っているだけで安心感がかなり違います。
まとめ
- レンタルサーバーの自動バックアップは心強いが、ワンクリックで元に戻る仕組みではない
- ConoHa WINGの場合、過去14日分・リストア無料だが、本番への復旧は手作業
- サーバーのバックアップは「保険」。それとは別に、外部に保存して自分で戻せる手段を持っておくと安心
- 一番大事なのは、実際に戻せることを確かめてあるかどうか
バックアップは、普段はまったく役に立たない準備です。それでも、一度でも「消えた」を経験すると取り返しがつかない類のものなので、公開して落ち着いたこのタイミングで見直しておいてよかったと思っています。
なお、今回の話の前提になっているWordPressの構築やサーバー選びについては、前シリーズで詳しく書いています。これから自分でサイトを作る方は、WordPress構築とは?セットアップから初期設定でつまずいたことと公開前チェック・SEO・運用開始もあわせてどうぞ。
このブログを動かしているサーバーは、今回取り上げた自動バックアップが標準でついている ConoHa WING です。バックアップ機能が最初から用意されているのは、初めて自分でサイトを持つ人にとっては安心材料のひとつだと思います。
次回予告
次回は「アクセス解析」をテーマに書きます。Search ConsoleとGoogleアナリティクスを設置したあと、実際にどこを見ればいいのか。ちょうど私のサイトもデータが溜まってきたところなので、最初に見ている画面を紹介する予定です。


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